この本は、脳科学者である茂木健一郎氏と、コンサルティング会社社長の梅田望夫氏との対談形式でネットの出現によって変わった現状と、変わるであろう未来について書かれた一冊になっている。
ネットによって全ての人に学ぶ可能性が開かれ、個人の力が強くなった。そして、過去に何を成したかではなく、これから何が出来るかが勝負の新しい世界が到来した。そんなネットの強さと無限の可能性について語られている。
また、両氏は共通してフューチャリストへの強い志向性を持っているのだが、まずは両氏の言うフューチャリストの意味を定義しなければならない。フューチャリストとは「専門領域を超えた学際的な広い視点から未来を考え抜き、未来のビジョンを提示する者」のことである。そして、このような「未来を見据える目」を持って未来像を描き、その未来像を信じて積極的に行動することが必要不可欠であると、している。
特に印象的だったのは「2.0的なアメリカの社会風土について」の話です。例として挙げられていたのは日本とアメリカの研究方法の違いについて。アメリカでは、日本と異なり、一人で研究を掘り下げるのではなく、まずビジョンを提示する。そこで、ウェブ2.0的に皆で議論することで多様性が生まれる。また、大学での教授昇進に関しても違いがある。日本では、論文を点数化して一定点を超えると昇進できるのだが、この作業は最初から最後まで一人で行われる(文脈的に日本を1.0的な社会と言いたいのだと思う)。一方、アメリカでは「それまで誰も手をつけてない分野を切り拓いたかどうか」が評価基準になる。ここでの競争原理は、他の人といかに違うことをやるか、ということであり、つまり、不十分でも新しいコンセプトを出す(コンセプト・メイキング)ことに最大の価値を置いているのである。
個人的には、このコンセプト・メイキングという考え方はcreativityにつながるに繋がるものであり、金ゼミの在り方にも呼応している一冊であると感じた。
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