2009年8月1日土曜日

【ホンヨミ!】バカの壁【大賀】

養老孟司著「バカの壁」(2003年、新潮新書)
2009年7月読了

※7月中に読んでいたにも関わらず書評を書くのがすっかり遅れました!ギリギリになってしまいすみません。以後気をつけます。

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 実はこの本の存在はずいぶん前、確かベストセラーになった当初から知っていた。その時の私は(恥ずかしながら)教科書以外の本に興味が無く読んでいなかったのだが。大学一年の時に宗教社会学の授業で紹介され、その時に目を通す機会があったもののすっかりスルーし続けていた。つまり、しっかり読み込んだのは初めてだ。
 冒頭の一ページ目からなかなか「耳の痛い」言葉が述べられている。それは、次のような一文だ。「つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。これも一種の『バカの壁』です」-インターネットの発達により、多くの人々が容易に情報を得られるようにはなったものの、皆が「平等に」知識が多彩になったわけではない。この現実を、筆者の言葉は端的に表している。以前、amazonの渡辺さんがゲストスピーカーとしていらした時に、私は「インターネットの検索エンジンの発達によって『思考の蛸壺化現象が起きるのではないか』という話をさせていただいた。自分で言うのも厚かましいが、私の考えは筆者の「バカの壁」と通じるものがあると思う。検索エンジンが発達しているからこそ、自分の求める情報しか調べようとせず、結果、「せまくふかく」の知識を得るだけとなってしまう。検索エンジンによって私たちユーザーは「賢く」なったわけではない。ただ、「賢く」なったようなつもりになっているだけなのだ。
 「バカ」にならないためにはどうしたらよいか?私は、本屋に行く、あるいは図書館に行くことが良いと考えている。本屋や図書館という場所では(蔵書検索システムはあるものの)私たちは自分の足で本、すなわちその中の情報を探さなければならない。文字通り心身を使った「検索」になるわけだ。それはけしてインターネットや検索エンジンのように簡単なものではない。

 そうだ、図書館に行こう。-本書を読んだ後に真っ先に思ったことだ。

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