アフォーダンス入門/佐々木正人
時折耳にしても、全く理解出来ていなかった「アフォーダンス」という言葉。
せっかく「わからない単語」とわかっているのに、そのままにしておくのももったいないと思ったので、本を読んでみた。
アフォーダンスとは、簡単に言うと、環境が生き物に与えたり、用意したり、備えておいたりするものである。
生き物が何かしらの行為をするとき、そこには必ず行為を取り囲むものがある。
大気、地面、光、私は何かに触れていない状態では、「存在する」ことすら出来ない。たとえば、立つ、という行為は地面から与えられたものであるように。
私が生きている環境のあらゆるものは、私に何かしらをアフォードしている。私自身ですらそうと気づかないほどあっさりと、さりげなく、その存在意義を認識させている。
私 が何かを行うと、私は環境についての情報を得る。そして情報を活かして次の行為に活かす。当たり前のことだが、こうして私は環境と行為を結びつけていって いる。赤ちゃんの頃には出来なかったことが今簡単に出来てしまうのは、私が環境のアフォーダンスが持つ意味を理解して、自分の行為に取り込んでいるから だ。生きることは、環境の中に埋め込まれた意味を探り当てていくこととも言えるだろう。
アフォーダンスの意味は、明快なものばかりではない。
椅子が与えているのは、座ることだけだろうか。私は椅子の背もたれにコートを掛けるし、台にして電球を取り替えることもある。それもまたアフォーダンスなのである。
これらのアフォーダンスは、無意識に知っていても、普段意識することはない。発見するためには、よくよく環境と行為を観察することだ。ひょっとすると、当たり前の日常の中に思いがけないヒントが隠されているかもしれない。
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