2009年12月13日日曜日

【ホンヨミ!1218①】プレイフル・シンキング【栫井】

プレイフル・シンキング/上田信行

プレイフルというのは、好奇心に溢れてワクワクしている状態のこと。状況を目一杯楽しんで、活かしていく姿勢のことだ。
筆者がいうプレイフルな状態は、インタラクティブなコミュニケーションを心がけることで誰にでも生み出すことが出来る。インタラクションというのは、物事を前にして、一方的に主観だけを持って眺めるのではなくて、客観的な視点も入れて向き合うことだ。全体を俯瞰して多角的な視点を持つこと、つまりメタ認知を意識することと、積極的に物事に関わっていくことで、物事は一気に面白くなる。

本書には、様々な意味でのインタラクティブなコミュニケーションの実践方法が出てくるが、その中でいくつか印象に残ったものを挙げたいと思う。

やりたくない課題を課されたとき、なかなか素直に向き合えないことがある。こんなことしたくないのに、と思ってしまうこともある。しかし、少し視点を上にあげて見ると、その課題を達成することで自分が何を得られるのが見えてくる。つまらないと思っていた課題に、自分なりの意味や目的を付けることで、やってみようという気になれる。いやいやこなすときより、遥かに成長できるはずだ。このことは、ある時期から出来る限り実践するようにしていることで、あまり乗り気でなかったタスクも自分で意味を見出すことで思い切り頑張れることに気がついた。書評も確かに大変なタスクだが、本を読むという明らかなメリット、タイムマネジメント効果、それからタスクを達成したときの充足感を思ってやっている。

課題に煮詰まったときにも、メタ認知は役に立つ。目の前のことだけに集中するだけではなくて、少し離れた視点で、今何が必要で何につまずいているのか、プレイフルな状態なのか、問いかけてみる。おのずと何が問題で煮詰まっているのかが見えてくるのではないだろうか。このことは、論文会議のときにもよく感じていた視点で、煮詰まったときは、一つ上の抽象レベルから構造化することで、自分達が今何をしているのか、どこまで進んでどこで止まっているのかを明確化していた。

自分のことだけでなく、人との関わり方もインタラクションは大事な要素となる。難題を自分ひとりで抱え込まずに周囲を見回して、周りの人たちと恊働することを考えること。それも、その人の良い面を発見して、この人となら上手くやれる気がする!という自信につなげること。グループワークでは、各人の個性やバックグラウンドのコラボレーションが起こる。素敵なコラボレーションが出来ることを考えて、ワクワクするような課題解決の方法。論文班で特に感じることのあったことだ。そして、誰かと一緒に何かをやるということは、少なからず評価がくだる。そうした評価に振り回されるのはプレイフルではないが、その評価をバネにすることは、明日の姿勢を良くするために必要なことだ。たとえ厳しい評価をもらっても、そこで拗ねたりへこむだけではなくて、自分の現状を向上させるために活かすことだ。

自分自身と自分を取り巻く環境は、本質を探り当てて、それぞれの意味を自分なりに定義づけていくことによって、大きく色を変える。自分を変える可能性は無限大に広がる。
単純に明るいだけではない、真の意味でのポジティブシンキングは、プレイフルシンキングと密接に結びついているのだ。

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