2009年8月1日土曜日

【ホンヨミ!】広告(新しい教科書)【戸高】

天野祐吉監修『広告(新しい教科書)』

 こういった業界を説明する本だとか入門書ってのは、1人の著者がつらつらと書いていくのが基本で、どうしてもその人の視点に偏ったものになってしまいがちで、気持ちよく読み終えることができないものが多い。
 しかし、今回の新しい教科書シリーズの広告は、過去の広告の歴史、いかにして広告が作られるのか、そして今活躍する広告に携わる人々の言葉、広告の種類といったように、監修者が1人いて、執筆者は各章毎に数人いる。その分なかなか飽きない。
 去年とっていた広告特殊の授業で先生は、「what to say」を「how to say」にいかに置き換えるかということを常に話していた。それが広告の基本なのだ。
 しかし、この本の中で、アカウントプランナー(この言葉も初めて知った。消費者と商品との新たな関係を見出し、広告をよくする仕事。)の木村健太郎さんの話の内容の中に、今では「when」と「where」という条件も不可欠になっているということだった。いつ、どこで消費されるかということも念頭に入れないと、より消費者に根ざした広告を創ることができないのだ。
 また、アートディレクターの佐藤可士和さんも、広告をポスターやテレビの画面の中だけでいかに消費されるのかということを考えていたのが、画面の外でいかに消費されるのかということをでざいんすることに頭がいきだしたということを言っている。場所や時間というものが、広告をデザインする上で切り離すことのできないものになってきているのだ。
 テレビでできる広告をウェブでやっても意味がない。ラジオでできる広告を新聞でやっても意味がない。どこでいつ、そして誰が消費するのかということを念頭に入れることが大事なのだ。そうすれば、以前ゼミで扱ったデジタルサイネージは無限の可能性を秘めている。

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